契約時のポイント

 入居したいホームが決まったら、契約の前に契約書や重要事項説明書をもう一度確認します。重要事項説明書は最新のものをホームから取り寄せ、目を通しておきましょう。ここではとくに念入りに確認しておきたい点について紹介します。

契約形態をチェックする

 高齢者向け住宅・施設は主に次のような「契約形態」があります。例えば、途中で健康状態が悪化してホームでの生活が困難になった場合や、夫婦2人で入居していてどちらか一方が亡くなったとき、もう一方は住み続けられるのかどうかは、契約形態によっても異なります。 契約形態をよく確認するとともに、退去要件や身体状況が変化したときはどう対応するのか、居室の移動やほかのホームを紹介してもらえるか、その実績なども確認しておきましょう。

(1)利用権契約

ホーム内の施設やサービスを利用するための権利を買うという契約。有料老人ホームなどに多い契約形態です。健康状態の悪化などでホームでの生活が困難になった場合は退去を求められることもあります。

(2)賃貸借契約

賃貸借契約は2種類あります。一般的な賃貸住宅を借りる場合と同じなのが「建物賃貸借契約」。契約期間中に契約者が亡くなった場合、賃借権は相続人に相続されます。かたや「終身建物賃貸借契約」は契約者が亡くなった時点で契約が終了します。どちらも「借地借家法」で入居者の権利が守られており、契約期間中は事業者の都合で退去させられることはありません。

(3)所有権契約

専用の居室部分を区分所有権として購入する契約。シニア向け分譲マンションなどがこの契約形態になります。事業者の都合で退去させられることはありません。夫婦で入居している人で、どちらか一方が亡くなった場合も、自己の持ち物なので住み続けることができます。

入居一時金の取り扱いを確認する

 消費生活センターに寄せられる有料老人ホームの相談で最も多いものは、契約時の入居金や解約した場合の精算・返金などのトラブルだと言われています。入居一時金の返還金額を算出する「償却」に関する考え方はホームにより異なります。入居後すぐに償却する費用=「初期費用」を20%、30%としているホームもあれば、入居時点で一括償却とするホームもあります。 入居一時金は退去の際に返還がされるのか、償却はいつの時点からされるか、初期償却の割合や償却期間(経過すると一時金が全額償却され戻らない期間)、さらに前払い金の保全措置が講じられているかといった点を確認しましょう。 前払い金としては「入居一時金」以外に、「入会金」や「保証金」「施設協力金」といった名称の費用が徴収されるケースもありますが、返還制度や保全措置の対象にならない場合が一般的です。重要事項説明書で分かりづらい点は十分に質問をし、不明な点をなくしてから契約をしましょう。

入居一時金の償却イメージ〜契約前に算定根拠や内容の確認を

短期解約特例の適用条件を明確にする

 納得して決定した住まいでも、現実に暮らしてみたら思うようになじめなかったり、体調の変化などですぐに解約しなければならなくなる可能性もあります。その場合は 90日以内であればクーリングオフ(短期解約特例制度)が適用されることが老人福祉法で定められています。 これは入居後90日以内に退去、あるいは契約を解除する場合、「入居一時金などの前払い金」全額が、返還されるという制度です(滞在日数分の償却費用は除く)。重要事項説明書にこれらの記載があるか確認するとともに、入居者が亡くなったときには適用されるのか、90日の起算日はいつからなのかも明確にしておきましょう。

契約直前チェックポイント
□入居申込金が必要な場合、キャンセル時の返金額について記載がある
□入居一時金の算定根拠が示されている
□入居一時金の初期償却割合と償却期間は?
□入居一時金の保全措置が講じられている(どんな方法か?)
□入居契約書に「短期解約特例」が明記されている
□短期解約特例で差し引かれる費用の計算方法が明記されている
□短期解約特例は入居者が亡くなったときの適用もあるか?
□退去時の原状回復費用の基準が明記されている
□月額利用料の金額と内訳が示されている
□月額利用料に含まれない実費費用が明確にされている
□月額利用料の改訂について示されている

身元引受人、連帯保証人はどうする?

 有料老人ホームの場合、緊急時の相談や亡くなった際の身柄や遺品の引き取りなどをしてくれる身元引受人が必要な場合が一般的です。身元引受人には、入居者の支払いが滞ったときの金銭保証を行う連帯保証人を兼務する場合が多いため、身元保証人などと呼ばれることもあります。通常は子どもが身元引受人や連帯保証人になる場合が多いのですが、そうした親族がいない場合は苦慮する場合が多いようです。最近は身元引き受けを行うNPOなども増えてきているので、利用を検討してみてもいいかもしれません。また、ホームによっては身元引受人がいなくても別途費用を支払うことで入居できるケースもあります。困ったときは市区町村の窓口や地域包括支援センター、社会福祉協議会などに相談してみましょう。

SUUMO介護編集部
2016年03月09日(水)
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