どうする? 親の墓、自分の墓 今から考える“墓じたく”

画像:PIXTA
取材・文/森島薫子
2016年07月13日(水)
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最近、霊園や石材店から「お宅はお墓の準備をしていますか?」という電話がよくかかる。
「夫が一人っ子で、実家に墓があります」と言って切るのだが、たまにふと不安になる。
1000km離れた実家のお墓、誰が守るのか?

「家墓」の継続か、「改葬」か

まず、故郷の実家にお墓があるケースについて考えてみよう。一般的なのは『家墓』と呼ばれるもの。檀家となっているお寺(菩提寺)の一角に墓石が立っている伝統的なお墓だ。

家墓がある場合、檀家として、菩提寺が定める墓地管理料や護寺費(お寺自体の維持のために必要なお金)などを払い続ける限りお墓を維持してもらえる。ただし、維持費の内容や金額は寺院によって異なるほか、寄付を求められたり、「葬式や法事などは菩提寺で行う」といった決まりがあることも。また、墓地管理料などを年単位で滞納すると、一定の告知期間を経たうえでお寺の無縁墓(合祀墓)に移される可能性がある。

遠距離のお墓を守るなら、自分が住む地域で新しくお墓を入手して先祖の遺骨を引越しさせ、面倒をみたい。こういった考えから、故郷のお墓を墓じまいして『改葬』をする人も増えている。家の近くのお墓なら、管理がしやすく墓参りにも行けて安心。しかし、この場合、新しいお墓の入手費用に加え、移転の際の法要の費用、元のお墓の撤去費用などがかかるという。

また、親族と話し合い、例えば、親の弟や妹、その子どもたちなど、お墓を持たない親族に引き継いでもらうケースもある。自分の家族のお墓を新たに用意する必要はあるが、元のお墓の供養を続けてもらえるという安心感は大きいようだ。

新しくお墓を手に入れる場合、将来お墓を継いでくれる子の有無で選択肢が違ってくる。子がいるなら、近隣の寺院の檀家になる方法や公営・民営の霊園でお墓を建てる方法がある。

民営霊園は、宗旨や宗派を問わず墓石のデザインなども自由に選べるものが多く、最近はペット共葬可の霊園も登場している。一方で墓石をつくる石材店が決まっているなど制限もある。一方、公営霊園は、都道府県や市区町村などが管理・運営する霊園。民営霊園に比べて費用が安く設定され、運営が安定しているというメリットがあるが、お墓を購入できる人の条件が設けられているケースが多い。

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急増中の『永代供養墓』について知っておこう

お墓を継ぐ子がいない人は、『永代供養墓』を検討するケースが多いようだ。これは、お墓を継ぐ子や親族がいなくても、永続的に管理と供養が受けられるというもの。納骨室に骨壺を安置するロッカーのような棚をつくって多数の骨壺を安置する形状が多いが、その構造やデザインはさまざまだ。

最も多いのは菩薩像や仏塔などの下に納骨室や納骨スペースを設けるタイプ。『樹木葬』をうたうお墓も、多くの人がイメージする「遺骨を粉末化して地にまき自然に返す形式」は少数派で、実はこのタイプが多い。つまり、地下に納骨スペースをつくり、その上に墓標として樹木を植えているのだ。また、都心などではビルのような納骨堂を建て、その中に多数の骨壺を安置して供養する永代供養墓が増えている。なかには、参拝スペースでICカードなどをかざすと骨壺を納めた箱が自動的に運ばれてくるタイプもある。

ここで注意したいのは、永代供養墓といっても、遺骨が永久に個別のスペースにおさめられるわけではない点だ。例えば33回忌など所定の期間を過ぎると他の遺骨とともに合祀され、一緒に供養されるというお墓が多い。また、民間の永代供養墓の場合、万が一経営破たんしたときにお墓がどうなるのかも、聞いておきたい点のひとつだ。

このほか最近は、海に散骨する『海洋葬』や、遺骨を特殊なカプセルに詰め海外からロケットで宇宙に飛ばす『宇宙葬』など、お墓以外の埋葬方法を希望する人も多いが、まだ対応できる会社は少ないようだ。

 このように、少子高齢化やお墓に対する価値観の多様化から、さまざまな供養の形が登場しているが、いずれも数十万円から百万円単位の費用がかかる。自分の死後、満足な供養をしてもらうためには、情報を集めて家族や親族、友人に相談したり、費用の準備をしておくことが大事。『墓じたく』も生前から、少しずつ進めておきたい。

取材・文/森島薫子
2016年07月13日(水)
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