絶景の高原リゾート地で、生涯充実して暮らせる「日本版CCRC」を目指す

レストラン棟(左端)と雁行型の住居棟が連なる第一期計画の建物。住戸は32戸ありオープン時だけで10名ほどの申し込みがあった
SUUMO介護編集部
2016年01月13日(水)
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サービス付き高齢者向け住宅「オークフィールド八幡平」

岩手県八幡平市に昨年12月完成したばかりの「オークフィールド八幡平」は、大都市に住む高齢者の地方移住を促す、政府の「生涯活躍のまち(日本版CCRC)」構想による先駆的事業のひとつとして誕生したサービス付き高齢者向け住宅だ。岩手山を望み十和田八幡平国立公園に隣接した豊かな自然のなかで、近隣の教育機関、芸術文化団体、地元農家などと連携して、入居者の生きがいを創り出そうと計画している。いっぽう母体となる社会福祉法人みちのく協会や東八幡平病院の協力による介護や医療のサポートも整っており、元気なうちから終末期までを過ごせる八幡平版CCRCとして注目を集めている。

最期まで健康でアクティブに生活するために

北側から見たオークフィールド八幡平。南側の部屋からは正面の岩手山の美しい姿が望める

「オークフィールド八幡平」は南に岩手県最高峰の岩手山を望み、北に安比の高原リゾートを控える自然と眺望に恵まれたロケーションの一角にある。昨年12月に完成した第一期計画の建物は32戸の住居棟とレストラン棟だけだが、ゆくゆくは全90戸ほどの規模のサービス付き高齢者向け住宅になる予定だ。
「60歳以上の元気なシニアに入居していただきたいと考えております。ただし自立が条件というわけではありません。要介護であっても、これからいろいろなことにチャレンジしていきたいと考えているアクティブなシニアであれば大歓迎です」というのは、同サ高住を運営する株式会社アーベイン・ケア・クリエイティブ企画開発室室長の山下直基さん。というのは、基本的には健康な段階から入居し、就労や社会活動、生涯学習などへ参加することにより健康でアクティブに生活するという、政府の「生涯活躍のまち(日本版CCRC)」構想の基本コンセプトのひとつを実践しようと考えたからだった。

外部の一般客にも開放しているレストラン。右手に見えるアイランドキッチンはパーティーや料理教室などに利用される

レストランの吹抜けに面して2階にフリースペースがある。テーブルセットは夏の間は外のウッドデッキに持ち出してオープンエアのカフェに

レストランとはガラス張りでつながる厨房。ホテル安比グランドで料理長をしていたシェフが腕を振るう

入居者の生きがい創出のためにさまざまなサポートを

安比高原を望む建物の北側にシェア農園がつくられる。二期計画、三期計画でコの字型に住居棟を配置する予定

入居者の生きがいを創出するために、オークフィールド八幡平が考えているのは、敷地内のシェア農園を使った農業や地元大学との連携による生涯学習、入居者による芸術文化活動などへのサポートだ。
「シェア農園では地元農家の方に技術支援を仰いでいろいろな作物をつくり、それをレストランで買い取るほか将来的には出荷もできればと思っています。生涯学習についてはすでに岩手県立大学と連携して具体的に動いておりまして、ゆくゆくは入居者の方たちともディスカッションしながら研究テーマを探っていこうと考えています。実は入居を決めた方のなかには、森のなかの絵本館をつくりたいという夢をもっている方がいらっしゃいまして、その夢を実現するために行政への働きかけや場所の確保などを私たちがサポートしていきます」と山下さん。ほかにも入居者によるアート講座や作品の展示・販売支援、技術をもった入居者への就労支援、入居者による地元の若者への事業支援や共同事業展開のサポートなどにも積極的に務めていきたいと考えている。
「入居者の皆さんそれぞれがやりたいことをサポートして、実現に近づけていくのが私たちにとっての介護サービスだと考えています」

住戸以外は外というルールで生活にメリハリと緊張感を

現在はモデルルームとなっている北向きの住戸。大きなフィックス窓から安比高原の前森山が望める

居住面積約26㎡の住戸はすべて乾燥機付きの浴室、トイレ、ミニキッチン、洗濯機パン、収納棚、エアコン、光回線の無線LAN付きで、南向きの住戸からは岩手山、北向き住戸からは安比の前森山が眺められる。高齢者向け住宅として画期的なのは、その住戸の玄関を一歩出るとそこは内廊下であっても外と同じ扱いになるということだ。
「廊下は土足エリアでギャラリーとして一般の方にも開放しています。入居者の皆さんにはギャラリーに住んでいると思ってくださいということでご了承をいただくようにしています。つまり住戸の外は街と同じですから、できるだけ身だしなみを整えてお出かけくださいと。そういう生活のメリハリや緊張感がシニアには大事だと私たちは考えています」と山下さん。
住居棟とは別棟のレストランも廊下と同様に土足エリアであり、入居者だけでなく観光客など外部の人も自由に立ち入って食事をすることができる。テーブルにはコンセントがあり、Wi-Fiも備えられているので窓からの景色を楽しみながら仕事をすることも可能だ。なおレストランを一般に開放する代わりに、売り上げの何パーセントかを入居者さんの家賃に充てようというアイデアも検討されているという。

清潔感のある約26㎡の住戸。左手の出隅の部分は4㎡ほどのバルコニーになっており、屋外でティータイムも楽しめる

車椅子になっても十分な広さがあるトイレ・洗面所と浴室。浴室は浴室乾燥機付きだから洗濯物が乾かせる

ギャラリーとして使われる廊下スペース。NPO法人岩手未来機構という団体によりシーズンごとに展示を替えていく

吹抜けから自然光が差し込む廊下。2階建ての各フロアには2カ所にあえてスロープを設け日常的に運動できるようにした

社会福祉法人の枠組みを超えて新たな介護サービスへ

車で1分の位置にある東八幡平病院。内科、リハビリテーション科、整形外科、歯科、神経内科、心臓血管外科など多くの診療科を備えている

オークフィールド八幡平のすぐ近くには総合病院の東八幡平病院があり、社会福祉法人みちのく協会の特別養護老人ホーム、ケアハウス、デイサービスセンター、訪問介護事業所、居宅介護支援事業所などがある。将来、医療や介護が必要になれば、これらの機関や事業所からの継続的なケアを受けつつここに住み続けることもできる。
「実は東八幡平病院と社会福祉法人みちのく協会は根が同じでして、創立当初から中堅所得者層のための老後の住まいをつくりたいと考えていたんです。しかしそれを実現するためには社会福祉法人という枠組のなかでは、いろいろと制約もあり自己規制もあって難しいだろうと。そこで株式会社にすれば介護の現場から一歩外に出て、介護の現場にイノベーションを起こせるのではないかと思ってアーベイン・ケア・クリエイティブを起ち上げたんです」というのは同社の代表取締役であり社会福祉法人みちのく協会の理事長である関口知男さん。いっぽう八幡平市でも「市のCCRC構想を策定し具現化するために、移住支援や社会的活動への支援など、連携して取り組みを充実させていきたい」と市民福祉部健康福祉課の関貴之高齢福祉係長。医療・福祉・介護・行政が一体となった八幡平版CCRCの試みは今始まったばかりだ。

社会福祉法人みちのく協会理事長でアーベイン・ケア・クリエイティブ代表取締役の関口知男さん(右)と、以前は安比高原のリゾート会社に勤務し、高齢者向け住宅のプレゼンもしたという山下直基さん

オークフィールド八幡平DATA

物件名:サービス付き高齢者向け住宅「オークフィールド八幡平」
事業主体:株式会社アーベイン・ケア・クリエイティブ
所在地:岩手県八幡平市

SUUMO介護編集部
2016年01月13日(水)
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